日本の論文数の問題について朝日新聞の社説の意見はわたくしの考えとはずいぶん違うものでした。
http://digital.asahi.com/articles/TKY201303310216.html
日本の科学力―研究の場を育てる意味 というタイトルです。
問題となる状況について3つの原因を挙げています。
原因の一つは国際共同研究の流れに乗り遅れていることだ。欧州各国は意識的に「多国籍研究」を進めている。米国の共著相手トップに躍り出た中国は、米国留学組が帰国後も共同研究するケースが多い。
もう一つは、学際・分野融合的な部分で次々に生まれているホットな研究領域へのかかわりが弱いことだ。たとえば、数学や工学、生化学、感染症学などの境界ですすむ「ネットワーク科学」への関与は薄い。
大学の学部や学科の壁が強固すぎるのではないか。内向きの姿勢をあらため、世界の潮流を見失わないことが重要だ。
この処方箋で論文数は増加に向かうはずだとの意見でした。
ホットな研究領域で国際共同研究をして,世界の潮流に乗りなさい、そして学部や学科などの壁を取り払いなさいと言う、ご託宣です。
重点化集中化された先鋭的な研究者像しか見えないようです。
草の根の学問はずいぶん違うものなのですよ、と言いたいです。その草の根が日本では枯渇しつつあるのではないでしょうか。わたくしはそう言い続けたいです。理由は広く浅い学問への支持がなくなって来たからです。
日本の科学の実力は素晴らしいものなのに、それが非常な苦境におちいっていることがなかなかわかってもらえないのです。
実情を一番よく分かっている若い教授の人たちがもっと発言しないと。