人民日報「琉球」論文:沖縄反応は複雑
というのが見出し。
本文は、以下の通りです。
中国共産党機関紙、人民日報が8日、「琉球王国は独立国家で中国の属国」だったとして、日本の「強奪」を批判する論文を掲載した。政府は、中国に抗議したが、琉球処分で「武力を派遣して強制的に併呑(へいどん)」(同論文)したのは歴史的事実。沖縄の反応は複雑で、中国批判一辺倒ではない。
考古学者の安里嗣淳さん(67)は、自分で考えた中国名「孫中路」を名刺に刷っている。「琉球の士族は皆、中国名を持っていた。日中両国とうまく付き合った沖縄の歴史と文化にこだわりがある」からだ。
県による県民意識調査も同じ8日に発表され、中国への印象は89%が否定的だった。「県民は現在の中国には批判的だが、歴史的な親近感はある」とみる。「その沖縄だからこそ、冷静に日中友好の先導役を果たせる」と強調した。
「琉球民族独立総合研究学会」設立準備委員会のメンバーで、龍谷大教授の松島泰勝さん(50)は、「日本が琉球を暴力的に組み込んだ点は正当化できない」と論文の一部に同調する。
一方で、「中国と儀礼的な朝貢関係はあっても属国ではなかった。琉球は中国のものというニュアンスがあるが、日本、中国のどちらでもない」と反論。中国での報道を「琉球の問題を国際的な視点で捉える点で意義がある」と評価した。
北京出身で、日中関係に詳しい沖縄大教授の劉剛さん(55)は「論文には、新しい資料や見方が全くない。古い話の繰り返し」と指摘。「尖閣問題で日本側が妥協しなければ琉球の問題を取り上げますよ、というけん制で、中国側の戦術だ」と分析した。
その上で、「中国国内の研究者は琉球、沖縄の歴史的な変化や現状に詳しくない。もっと事情を理解して論文を書かなければ、国民同士の理解は生まれない」と話した。
沖縄的には無難な記事つくりと思われます。今の中国政府に好感を持つ県民は少ないでしょうが、でも本土の日本政府にだって,煮え湯をいまもさんざん飲まされていると感じる県民は多いのでしょう。琉球独立は荒唐無稽でなく、頭の隅で考える沖縄県民は潜在的にかなりいると思われます。
伝統生活面で、中国の影響は深いでしょう。かつては、士族全員が日本名と中国名のふたつを持っていたという事実もそのひとつの例なのでしょう。琉球処分という歴史的事実は沖縄県民がだれでも学校でまなび、沖縄というか琉球が日本国で異質の存在であることは感じているのでしょう。
わたくしはこの記事で最後に意見を述べている、北京出身の劉剛さんの意見にうなずきます。
こういう人民日報論文はほんとうに日本国民を中国嫌い、中国人嫌いにするためにもっとも効果的なものです。しかも、論文を書いた人たちは日本や沖縄について無知なのです。机上の意見でしょう。
かれらの不勉強と知識のなさが、日中友好をもっとも阻害するものとなっています。
なんと、愚かなのだろう、残念だな、というのがわたくしの正直な気持ちです。でも沖縄では昨今の日本政府へのいらいらが募っているから、この記事の見出しにあるように、沖縄インテリというか、この新聞のバックである読者層の反応は複雑なのでしょう。
もうひとつの琉球新報ではほとんど記事がでていませんから、そういう反応のしかたもある意味県民の多数の反応なのでしょう。興味を持つ理由がない、というのでしょう。
本土でのメディアの大きな反応とは大違いです。
日本に対して好戦的に日々なりつつある、中国政府とメデイアの共同作戦のひとつであるのなら、日本本土においては、かなりの効果を発揮しているともおもえ、そういう点では憂鬱になる出来事です。