明日は京都駅近くで会議があります。わたくしには重要会議で出席者のご意見を注意深く聞かないといけません。
前からラボや昔の研究室の仲間に会ったときには折々にいっているのですが、まだこのブログではあまりいってないようなことを今回書いてみようかと思います。
生命科学をやるものにとって時代が変わった、という認識は多くのかたたちが共有しているのだとおもいます。
現状はけしからん、もっと基礎科学を大切にしないと、というのももちろんありだと思います。
しかし、いっぽうでわれわれは生き続けなければいけないので、先の長い若い世代にどう三度の食事を得られるようにするか、こちらのほうが現状の改革よりまったなしの急務になっているわけです。
それでわたくしが自分の言うことをあまり誤解しない人たちにいっているのは、ひらたく言えば、二刀流でいきなさい、頭を切り換えて基礎と応用、どちらもやりなさいよ。というものです。そんなふうに言い出してから3年以上たちます。わたくし自身の研究グループもそういう二刀流のラボになっていますが、これを個人のレベルでも二刀流でいくべきというのがわたくしの最近の考えです。
これしか抜本的なだれにも適用出来る方法はないのではないかというものです。
ただわたくしの応用的な研究というのは、ラジカルなもので本当に役に立つもので、二昔か一昔書類で適当に誤魔化すようなものではありません。本当にすぐに役に立つようなものを狙う研究です。
まさにわたくしの場合、狙うという表現がぴったりで、狙撃兵のような気持で狙撃すべき獲物がでてくるまでじっと何年でも待つ、そういう気分です。
ひとつあたればいいのだし、そこから芋づる式に発展するでしょうから、わたくしの場合は焦ることもありません。ただ狙いをつけた分野については、出来るだけ関係学会というか聞きに行くことにしています。はなしも最低30分は聞いてそのあと質問もしたいので、出来るだけ100人程度の会合が適切と思っています。日本で無理なときは海外にも行きます。わたくしがこれまでの研究とは無縁の会合にいましたらそういう二刀流関係の会だということです。
ただ若い人たちは焦ったほうがいいでしょう。世の中、変わってしまったのです。
わたくしの場合、二刀流になってから、もともとの一刀のほうはどうなったか。わたくしは決してレベルは下がってないと思っています。むしろますます独自路線を歩めるようになってきたと思っています。そしてそれまで、それなりに興味を持って聞いていた細かく詳しい隣接分野の話などはあまり関心がなくなりました。興味が尖鋭になってきた感じがします。アルジェブラボーイの話など聞いているヒマはないという気分になることはあります。
実績がでるまではなかなか信じてもらえないと思います。でも、そろそろそういうこともいってもいいくらい今の日本、生きていくこと自体が難しくなっているので、若いかたもお年寄りにも、とりあえず二刀流をお勧めする次第。二刀流がうまくいき出すと、1つのかたなのほうの話は、誰に話しても結構うけます。まあわかってもらえるのですね。
こんなことを言わなくてもとっくの昔から実行している人たちが沢山います。
医療で基礎研究している人たち、バイオ産業に直結した研究をしつつかつ基礎研究で高いレベルの成果をあげている人たち、おります。だからその人たちにとってはどうと言うこともない意見でしかありません。