今朝の阿川さんの対談相手は寂聴さんでした。
面白かった。内容も濃かった。
25才で子供一人を置いて不倫相手と出奔するときにお金がないので親の家というか仏壇屋の自宅の家から金箔を盗んだのだが、まったくお金にならなかった、というエピソードが面白い。本当はたぶん非常に困ったのでしょうが。
人間いつも非常に困ったときのことはよく憶えていますし。
それまでは超真面目だったのが不良になってしまって、初めて人生を歩み出したのだということを言ってました。それで、その後もずっと不良がすきだったとのこと。最近はたいした不良がいないとも。
親にはなぜ出奔するのか説明出来ないのでとりあえず小説家になるのだ、といったことがその後ほんとうにそうなってしまった、というのも、なんかリアルに聞こえました。
今東光氏の世話で尼僧になったときに、まず髪の毛は切らんでもいいといわれたが、やはり切りますと。下腹部のほうはどうする?と聞かれて絶ちますと返事してその約束はその後もずっと40年間守って恋はしたがずっとプラトニックだったとのこと。これは寂聴さんに関心あるひとには重大発表なのでしょう。そもそもなぜ出家したのかそうせざるをえない状況があったのだとずっと寂聴さんはいってもそれ以上詳しいことはいいませんが、たぶん人生で大きな出来事が当時あったのでしょうか。
原発についても忌憚のない意見をいっていました。いまの時代、勇気のいることです。
坊さんも本当は結婚すべきでないともひと言いっていました。正論でしょう。でも僧籍にあればいいにくいでしょう。
わたくしがおもわず大笑いをしてしまったのは、いまの若い人は元気がない、かれらには革命と恋が必要だといったときでした。
なんと、これほど元気のいい発言をながいこと聞いたことがありません。
というかわたくしの周辺ではこの30年間くらい革命という言葉を耳にしたことがありません。
すごいなあ、と感心しました。
革命と恋が若者には必須なのだという、セリフはタイムスリップするとわたくしが20代の頃、酒を飲むとかならずだれかそんな感じのことをいってました。そのセリフがでないことには元気が出ないのでした。古いなあ、といってしまうはずなのに、寂聴さんがいうとなんとも新しく聞こえるのでした。
寂聴さんはわたくしより20才くらい年上ですが、わたくしなんかよりずっと気持ちがわかいなあ、と思いました。
戦後のある時期の元気のいい日本のスピリットをまだまだ持ってるんだな、と。最後に好きな歌手はと阿川さんに聞かれて、美空ひばりでした。なるほど、革命と恋と美空ひばり、わたくしも大昔の若い時を思いだしてしまいました。
わたくしにとってはその20代前半は学問第一だったので革命も恋も捨てるところから自分の実人生が始まったという実感がありました。
寂聴さんの説話、いちどわたくしも生で聞いてみたいと思いました。