どうなる博士取得者

わかい研究者たちはこれからどうなっちゃうのでしょうか?よく話題になるし、またよく聞かれる質問です。
わたくしは生物系というか生命科学系の人間なので物理や化学などの若い研究者の将来は日本でどうなっているのかわかりません。
生命系ではあまりかんばしい将来を考えるのは正直難しいでしょう。
研究者はだれだって好きこのんで苛烈な競争におかれるような環境を好むはずがありません。
だれもが落ち着いてやりたい研究をしたいと願うものです。それが3年、よくても5年で職が無くなり、次がみつかるかどうか分からなかったら不安だし毎日が楽しいはずがありません。
そういう分野にどうしても行きたいと願う若者が減るのは当然でしょう。

いったいなぜどうしてこのようなトレンド(流れ)の研究社会環境になったのでしょうか。誰かが意図して計画したわけでなくせいぜい「健全な競争のもとにおける生命科学の発展」を企図して研究者つまり学位取得者を増やす行政計画が立てられたわけです。
そのこと自体悪いはずがありません。
ただ、分からなかったのは日本社会全体として博士取得者を喜んで職場の中に入れようとする部分がほとんど増えなかったという経過というか結果により職にあぶれてしまった博士取得者が増えてしまったわけです。
どれぐらいあぶれているのか、正確な数は知りません。でも一人となれば弱いですから、声をあげることもなく静かに消えていったのかもしれません。しかしそれほどひどい統計数は実は出て来ないのかもしれません。みかけ就職率は悪くないかもしれません。
しかし満足しているかどうか、聞けば大多数のポスドクはかなり不満な環境にいると感じてるのでしょう。わたくしはそう感じています。
これがそうなら、とてもつらく感じる事実です。
先が明るくない、現状も楽しくない状況が30代半ばでもつづき、それが40代半ばになっても延々続いていたら、どう感じるでしょう。国家としても沢山の予算を使い、博士号取得者という貴重な人材を作ったはずなのに、まったくもったいないし、行政的失敗ともなります。
わたくしはいまや博士号所得者の一斉調査をするべきでし、しなければいけないと思うのです。
行政的に予算をだして、対面インタビューを含めしっかりした大規模な調査をするべきだとおもうのです。もしかしたら、もうしているのかもしれません。ただ学会などでなく、政府機関のようにより社会的要請を強く感じる行政機構にしっかり調査してもらいたいのです。
調査の結果もしっかり公表してほしい。
公表される内容を知ることが、これからの科学教育の行政の基礎となるに違いありません。

医学教育の結果である医師については社会的関心も高く、また医師達がつねに多数の一般国民と日常的に接しているのでとても分かりやすい。
しかし博士取得者は学校、大学、大学院、さらにポスドクと10代後半から30才まで長期にわたって学究的な生活をおくっていますが、時が経つにつれ、社会との接点が低くなっている傾向もあり,あまり社会に知られてない人々とも言えます。
まだ若いうちにぜひ社会にとって有為な職業人になれるような再トレーニングを行うことも含めて考えねばならない状況になっていると思います。
ひと言でいって、本人にとっても社会にとっても無為な生活をいつまでも続けるべきではないのです。

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