5月31日のブログに日本でのポスドク問題を論じました。
そこで書いた意見に変化はないのですが、日本の現状はたいへんたいへんに二度繰り返したくなるくらい深刻だと思っています。
twitterで書いていても、若手らしい人たちのレスポンスにしても今のボス先生達にしても、関心は非常にあるみたいです。でもあまり問題の本質を理解していない(失礼!)かたがたが多いのではないか、と感じざるを得ません。
どうしたらいいのか、誰もが納得する答えは持っていませんが、一つあるので、それを下に書きます。
この問題、すべての研究者がそれぞれの立場で胸に手をあててよく考える必要があると思うのです。現今の日本人研究者(生命科学はすくなくとも)の最大の課題かもしれません。
学位取得者を沢山輩出することは、世界的観点からは本当は大いに貢献している(はずな)のだと思います。ただし、日本の博士取得者が世界に出て行って引っ張りだこになるだろうという、前提の元にです。
考えてください。博士取得者は世界中で通用する数少ない資格です。医師の免許は国内向けだということを考えればすぐわかります。ですから、博士取得者を多数作るというのは世界に向けて作るという姿勢がないといけなかったのです(さすがに文科省もそういう気持ちはあまりなかったでしょう)。わたくしも自分のラボの出身者に国外にでたら日本に戻ろうと決して思うな、そして向こうの連中との社交に最大の努力を払え、などといって海外に送り出しましたが本当は申し訳ないといつも思っていました。そう思ってはいけないのでした。当たり前と思うべきでした。
現実は日本の研究者は海外に行きたがらないし、行っても生涯ではなく、いっときのつもりなのですね。
なぜか日本人研究者はやはり多くは故国に帰りたいと思っているのです。英語もうまくならないし、社交もさっぱり上達しないという人たちが多いのです。
なぜそうなのか。まず、ここから変えないといけないのでしょうね。
沖縄での感想は書きたいのですが、諸般の事情で、残念ながらできません。
ですから、あくまでも一般論としてですが、日本の学位取得者は海外で人生の大半を過ごしたいという若者を優先すべきなのです。それで質があがるのか下がるのかわかりませんが、そうしないと駄目だと思います。
博士取得者の大半はその価値が海外で理解される、役に立つ、ですから、相当期間海外ですごすことをつよくencourageもしくは義務化したらどうか。そういう義務化が付随した大きな博士号枠を作ってもいいでしょう。そういう枠のひとには奨学金の返還免除にするとか。10年とか15年くらいは海外での勤務をすればいいとか。
そうすれば、日本の博士取得を志す若者達の雰囲気はがらりと変わるでしょう。いわゆるタイプががらっと変わるでしょう。
そもそも大学院学生たちの大学院でのみずからのトレーニングに対する、考えや感受性も大きく変わるでしょう。英語もうまくならない、外国生活に順応もできないようでは駄目ですから、そこから始めないと駄目です。
とりあえず、今日はこの一点に絞って書いてみました。
日本がPhD取得者達のの海外への大きな輸出国になることを夢見ています。上の二点を何とかすれば世界最大の輸出国になるのもあながち夢ではないです。スイスなどは完全にそうなのですが、あまり知られていないですね。日本人は、人柄的に尊大でもなくエリート的でもなくずるくもないし、世界から愛される博士研究者達の輩出国なるでしょう。
いま、ドラスティックな実行案を始めないと日本の生命科学はホントに沈没してしまいます。
後になって、あの当時の指導層に責任が有ると言っても、その時は世代責任みたいなものですから責めたい人たちはみな学問の世界から消えているでしょうし。