5月は連休明け後にオーストリアのウイーンにSMCタンパク質の会合で出かけて、帰ったら日をあけずに香港のいくつかの生命科学系の大学院生の会合で講演をしてきました。彼らの口頭発表やポスターの賞の選定もしてきました。香港はこれまでまったく縁がなく今回がはじめてでした。関係のある研究者もいることはいますが、これが最初で最後の訪問になるかもしれないと思い会合が終わった後についでにマカオにもいきました。大正解でこの日だけ晴れで、かつてのポルトガル統治時代の雰囲気が色濃く残る町の様子も興味深くみました。かの有名なカジノも見るだけですが見物しました。昼でしたが99%は中国からの旅行者のようでした。マカオのカジノ街は中国人の旅行者の異常に近い増大もあり増築につぐ増築だということです。現場をみたら、政治家は導入したがるかもしれないが、止めた方が日本の将来にとってはいいと感じざるをえません。
さて今日の写真ですが、これ行き帰りの2枚のフェリーの切符です。この切符に小さなシールが張ってありますが、座席番号です。座席指定の仕組みは乗客がこの切符を出すと目の前の受付の女性が電光石火の早業で、船全部の座席に付いているシールをはがして乗客の切符に張るのです。台紙についていたシールをはずして乗客の切符に貼り付ける時間は乗客ひとり1秒もかかりません。もしもかかったらものすごい数の乗客をさばけません。しかも台紙は一枚で、女性一人に介添え一人みたいな感じです。
実は行きはフェリー待合室の騒然とした人混みに圧倒されて気が付かなかったのですが、帰りには気が付きました。じっと手もとをみていると、何とも言えない早業と女性の表情がいいというか、なんというか名人ここにいるという感じでした。ちょっと感動しました。
今の中国まだアナログがすこしだけ残っているようです。こういう作業もそのうち無くなるのでしょう。早業女性の次の職場はどこになるのでしょうか。
かつて日本中にいたバスの車掌さん、揺れる車内で切符を売っていましたがある時期にいなくなりました。彼女たちもどこにいったのか。
激動期の中国、誇りと期待と不安を表情にだした人々が溢れています。香港の人達には歓迎されてないようです。でもわたくしは、そこはかとない親近感をかれらに抱きます。
かつてのわれわれの姿を見ているような気分になるからです。