わたくしは生命保険に入りたくないタイプの人間です。
自分で生命保険をかけるときは海外旅行にでる時に掛け捨てのに入るくらいです。あとクレジットカードで交通事故などでの傷害保険とかの自動的なものくらいです。もしかしたら、わたくしが知らないか、忘れているだけでなにか入っているのかもしれません。でもわたくしは、積極的に入りたくないという主義をずっと通してきました。独身の20代だけでなく、30代で結婚してこども3人に恵まれてからもです。生命保険は掛け金が沢山かかって、薄給の大学教員にはたいへんつらい、というのが理由とすると、随分、家庭人間として無責任と思われる気もします。
でもそのかわり、別なことに相当に気を使って生きてきたつもりです。
その第一は、家族皆健康であること。そのために体を鍛えるというか体を動かすことですね。週末忙しいときでもなるべくそのあたりにハイキングなどはよくいったものです。毎日、家族全員と顔をあわせ、顔色の悪い人はいないかそれなりにかなり気をつけて来たつもりです。ただ悟られないようにしていたつもりです。これが、わたくしの第一の保険で、ありふれたものです。
第二は、子供達は将来、ご飯がちゃんと食べていける人間になって欲しい、そためにありとあらゆる時に自分で飯を食ってください、とつたえる。そんな保険的発想です。子供達がいい方悪いですが、安価に育って、逞しく社会でちゃんと生きてほしい、これがわたくしのいちばんの願いでした。主義思想とか教育方針ではなく、そうじゃないと食べていけないくらい国立大学の教員の給料などはまさに薄給だったからです。そういえば昔は月給は封筒の中に入っていました。薄給は実感があったのでした。
幸いなことに子供三人、みな健やかに良くそして強く育ってくれて、社会でちゃんと生きています。なんとありがたいことです。感謝感謝です。おかげで人生で最大の夢だった、わたくしの夢もかなえられました。
この第二の保険がうまくいったので、後はわたくしと妻が元気に健康に生きていく、このことがもちろんこれまでのそしてこれからの関心事です。
これがわたくしの保険にはいらない代わりの考えです。まったくなんにも変哲もありません。わたくしが今や後期高齢者にたどり着きましたのでこんなことを書いてもあまりだれからも叱られないでしょう。
日本の医療制度がしっかりしているので(他国と比べて相対的に)、その上に乗った考えであることはいうまでもないです。また、運良くそうなったと言われるかもしれません。まさに、そうかもしれません。しかし、人生は所詮運でしょう。
だから、たまにはこういうわたくしの生きる上での小さなギャンブルについても書いておいていいでしょう。