ここに掲げた文春新書の一冊は最近読んだもので、とても面白かったものです。
火山と縄文時代、火山と古事記という思いもよらない組み合わせですが読んでるうちにどんどん引き込まれて、読み終わった時には火山が日本人の心と生活と長い歴史に深く埋め込まれてきたのだと確信してしまい、悠久の時に思いをはせるようになるでしょう。
火山で読み解く古事記の謎、と本のタイトルにありますが実は古事記には沢山の火山に関係する話が入っているのだというのが、著者蒲池明弘氏のこの本での主張です。
氏が始めに言いだしたことではなく、実は既に沢山の人達がいろいろな観点からある程度いってるのでした。知りませんでしたが、寺田寅彦なども卓抜な仮説を提唱しています。またロシアの革命家で日本に長年住み帰化した人が大変興味深い観点で日本の歴史とくに古事記を読み解いていたということです。まったく知らなかった大変興味深い話がたくさん織り込まれていました。
蒲池氏は沢山の火山仮説とでもいうものをまとめて、さらに一歩も二歩も進めて実に魅力的な本を作りました。歴史の本なのに、理系でのモデル、興味深い仮説を提示されているようで、ついついじっくり読んでしまいました。
天皇家の解釈もたいへんおもしろい。ネタを明かさない方が良いと思うのですが、巨大地震、天皇家と火山地帯、古事記、大噴火、こういうキーワードのひとつでも関心があれば、興味津々最後まで読めるでしょう。
蒲池氏は実はわたくしの姪の配偶者ですから、内輪ほめみたいにみえてしまいますが、でも正真正銘面白い本です。むかし結婚式の時に一度会ってその後はまったく会ってないのですが、いつの間にやら読売新聞をやめて小さな出版社をやっていると聞いてました。
この本を読んで、この才能の持ち主、これからの活躍を大いに期待したいと心よりおもいました。