論文ライターのひとりごと

今年の正月休みに、「毎月論文を1編書いて投稿せねばならないなあ」、とため息をつきながら計画を立てたのに、もう早くも3月31日三ヶ月経って、退職の日になったというのにまだ1編しか投稿してない。準備中のものは多数あるのだが。博士の学位を取らねばならぬ人達が多いのだから早くなんとかしないと。
ひどい計画の遅れだが、わたくしだけが悪いわけだけではない。わたくしとしては、これ以上無理というくらい勤勉に土日も忘れずに、多数の論文準備の作業をして働いているのだが、なかなか計画通りにいかないのだ。基本的に頭というか、頭部と手を使うのみの作業で、不健康なので、そればかりやっては結局非効率だし、体調だって悪くなる。それに、思わぬ雑用が入ったりしての遅れもある。サッカーのイラン戦、見ないで論文をかくなんてことはさすがのわたくしでも出来ない。このブログ書きのような、気分転換は、論文書きに特に大切です。
ともあれ、これ以上の時間をかけて論文書きで働くのは気力体力的に無理、とわたくしは思ってるし、周りも分かってるので、あとはどうわたくしが工夫して、関係者も協力して、計画を実現するかである。計画の遅れはあるが、年間的にはまだまだ可能性はある。
昨年5月から改訂中の論文がある。懸案事項のトップに来ていることは事実。しかし、関係者の多大な努力でもまだ満足すべきデータが出てこない。関係者も最後のデータをいつまで頑張るか、ジャーナルのランクを落とすか、祈るような状態。
わたくしのパソコンのデスクトップにはそれも含めて8編の論文フォルダが置いてある。うち2編は事実上ほぼ終わっているのだが、なぜか筆頭著者が急ぐ気配がない。それに、もっときめ細かく協力してくれないとまだすこし時間がかかりそう。心を合わせた最終段階というふうになってない。
他の論文もデータはみな沢山ある。しかし、フィニッシュには足りない。フォルダーが2G以上の大きさなのに、まだ終われないのはつらいのだが、しかたがない。
かゆいところに手の届くように協力してくれた、GG君がほんとに懐かしい。彼はやはり特別だったのか。でも、彼が出来たのだから、他の人達も出来るはずではないか。こう考えるのはいけないかな。彼は、考察に必要なあるセンテンスを書くために、その背景になる引用論文がなにになるか、ちょっと聞くと、素早く完全なリストを説明付きでメールで送ってきてくれたものだ。何を聞いても間髪を入れずに返事があり、頼んだことを忘れたことは決してなかった。
いまは、わたくしが最低2回お願いしないと、対応の返事が来ない人達が多い。わたくしが、忘れた頃に「あの件ですが」と代名詞でやってくる。「あれ、これ」とやたらに代名詞が多いか、省略語が多い若者が増えてる。
論文書きの最終段階では、そのお話というか主たる結論がこれまで既に知られている知見とどう関係するかをきちんと明確に関係づけて、論じなければならない。さらに、いろいろな気になる可能性も論じなければならない。文献上の実験結果や、研究室内でかつてやられた未発表や既発表の実験結果を思い出して関係づけるとか、知的には大車輪の忙しさと最大限の活性化状態になるのである。
こういう時期に、のほほんとしてるみたいで活性化してない(かのように見える)関係者には腹が立つのだが、しかしかれらも、たぶん協力したいと思っても、どうしていいのか分からないのでしょうね。
結局、考察の一つのパラグラフを書くのに、半日くらいかかることがある。論文引用漏れがないように自宅でインターネットから大量の文献を一つ一つを見る作業などがある。このあたり、関係者の弱さがわたくしへの負荷としてかかってくる。わたくしとしては、対話がほとんどできないような著者の論文を書くのがほんとにしんどい。ボスの言うとおりにしか出来ないポスドクを抱えての研究室運営など、たぶんもっともつまらないでしょうね。わたくしにはそれでも、この未熟な学生もいつか立派な研究者になるのではないかという、希望がもてますから。
どうも、今日のは、ついつい、ぼやき、なげき節になってしまい、すみませんでした。たぶん、研究室の人達も首をすくめて、これを読んでるかもしれませんね。やはり退職日ですから、気持ちがネガティブになってたかもしれませんね。
そうはいいながら、いまデスクトップのフォルダ内のほとんどの原稿はかなりの完成状態なので、気持ちよいフィニッシュのデータと、かゆいところに手の届く協力と、わたくしの気力が充実してれば、残り9か月で全部投稿までいけるはずなのです。でも、それでも計画の3分の2です。残りの時間は、予想外の研究の進展の為に取ってあるのです。下級生というかラボで一番若いクラスの人が素晴らしい研究成果を挙げたことは今まで何度もありました。誰かの仕事が突然ブレイクするかもしれません。そういう状況になればわたくしも他のことは全部捨ててでもその論文を書きだします。
ほんとにエキサイティングで内容がズバリと決まった実験結果がそろえば、3日もあれば論文が書けるのです。

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