ここ何日か、一階への移転作業に伴って、塗装工事がありまして、シンナーのような強い匂いが建物内に立ちこめてます。質量分析のデータにコンタミが入って困る、とO さんがぼやいてました。
樹木の移転がすみました。一本は楠のように見えるのですが、見事なものです。もう一本は銀杏でしょうか。木が二本移転したので、我々の建物の汚さが百万遍交差点から丸見えですが、しかたないです。ともあれ、これら二本の木の命が続いたこと、たいへん嬉しいです。
今の政局の三点セットのうち、BSE問題についてちょっと意見を述べようと思います。BSEとはBovine Spongiform Encephalopathyつまり牛海綿状脳症のことで、この牛の肉とくに脊髄部分などを食べると、高い確率でこのプリオン病に「感染」するわけです。もちろん非常に怖い病気でなりたくない病気のトップに来てなんら不思議はありません。日本人がひとりたりとも牛肉を食べてこの病気にならないようにする、努力はもちろんいいのですが、マスコミなどでみるものすごい剣幕での行政や関係者の手落ちを責めるのを聞いてると、なぜか違和感を感じてしまうのです。
またまたしつこくて申し訳ないのですが、たばこの害で死ぬ人は毎年何万人もいるでしょう。がんで死亡する人は日本では毎年30万人いるのですが、そのうちの少なく見積もっても20%はたばこが無くなれば減るだろうと言われています。ただ、たばこの害は感染症と違いますので、この人と特定出来ません。それでいまだに日本では、たばこの害について、BSEのケースのような剣幕で追求する国会議員もマスコミ族も居ません。
車の事故で死亡する人が毎年約1万人いますが、だれも自動車会社を非難しません。それでは、毎年日本では3万人の人が自殺をしますが、これはどうなのでしょうか。自殺の多くは、心の病が原因です。心の病の発生の原因の多くは、なにかの人為的原因、つまり社会的原因があると考えられます。3万人とはとてつもない数ですが、これを減らそうと言う努力が、このBSE問題に向かうくらいのエネルギーになぜならないのか、これもわたくしにはよく分からないのです。やはり、口に入れる食べ物の恐怖ははるかに大きいのかもしれません。それとも自殺は人ごとなのでしょうか。
毎年、お餅を喉に詰まらせて死ぬ人の数もたいへんなものだと聞いてます。ふぐの毒の部分を食べて死ぬ人も無視できない数だし、アレルギーのある食べ物で命を落とす人もいると聞きます。しかし、日本人のBSEに対する恐怖心はそんなものとは、桁が違うようです。その恐怖はもちろんうそ偽りのないものとして受けとめるとして、それで、他の人為的原因で死ぬものにたいする奇妙な無関心(とみえる)原因はなんなのでしょうか。わたくしも日本人のひとりですが、そのあたりがよくわからないのです。
わたくし、子供の頃に江戸川乱歩の子供向けの本で、ペストというのが、最もおそろしい病気という記述があり、その死に方にゾッとして、一番怖い病気はベストと、長いこと思ってました。やはりおいしい牛肉がもしかしたら、自分の脳をスポンジ状にしてしまうと思うと、食べたくない、こういうことになるのでしょうか。英国では相当の青少年がBSE事件後菜食者になったと聞きます。日本ではそれはないですね。
ところで、京大アメフット学生の強姦事件ですが、学内でもいろいろな動きがあるようです。わたくしは、正規教員ではないので、学生などと同じ程度の京大ホームページでの情報しかありません。ただ、若い人がいうには、水野監督はインタビューで深夜までそういうところに居た女子学生にも責任があるかのようなことを言ったそうですが、ちょっとそれは違うのではないかなと思いました。それだけ、友人として信頼していたのではないでしょうか。女子学生でも酒を飲んで羽目をはずすことはあってもこの時代不思議でありません。酔いすぎて寝たところに乗ずるというのはひどいと思います。
また被害者の女子学生が京大生かそうでないかでも大きく事件の意味が異なってくるのではないかと思いました。新聞で読んだのでは、女子学生が友人だと思っていたのに、ひどいことをされたという、記事がありました。男女の学生が、友人としてお互いを信頼していたのに、という背景だったら、どうもほんとにおぞましい出来事です。
総長名での掲示では、放学処分もありうるということですが、放学というと、たしかに学生からみたら厳しい処分なのでしょうが、なにか社会から見たら、この加害者学生を単に放り出すという感じで、これも違和感ありです。