論文を完成するタイミング

きょうは京大K研をことし定年退職されたSさんの会に夕方から行きます。退職の記念会は通常は失礼してるのですが、今回は妻が出たいとイニシアティブをとられました。

Sさんのご家族とはわたくしたちが山科で住んでいた時にお隣さんでした。
隣もとなり、壁の厚みだけをはさんだお隣さんで、わたくしたちの住んでいた京都市住宅供給公社の分譲棟で隣接でした。お子さんも年が近く、Sさんの奥様と妻はその頃は毎日おつきあいしてたのです。間取りもまったく同じですから、夏などはドアも開いていて、子供は気軽に行ったりきたりしていたものです。長男が年子で生まれたこともあって、娘はずいぶんSさんの奥様にお世話になったものでした。
期間はそれほど長くなかったのですが、その後もおりおりに話しをしたりすることもあったのでしょうが、今回は奥様ともあって話しをしたいというのが妻の希望です。Sさんの講演も聞きたいとのことでした。
Sさんは大変著名なかたですが、わたくしたちが始めて隣同士の住民として、アパートの通路で会ったときのことは忘れられません。わたくしはたぶん、32か33才の頃で、となりのご主人が京大の教官とはしらず、いったいどこの勤め人なのだろう。なんか怪しそうな職業をやってるのではないかと、思ったりしたものでした。
たぶん相手のSさんはもっとわたくしのことを風体から怪しんだに違いありません。おたがいに、かなりあやしんだ感じ、警戒心をもった出会いでした。職業的な正体がわかってからは、ごくふつうの会話をはじめましたが。
それから、30年余の時がたちSさんも退職されました。環境問題を極めて早くから取り上げ、沢山の提言をされていることは周知のことです。退職後の肩書きの一つは京大特任教授ということですから、文系、理系の違いはあれわたくしとは似たような境遇なのかもしれません。

きょうは朝から土砂降りの雨です。夕方までの時間、比良山麓に来ました。
この一週間、気温が高かったからでしょうか、植物の伸びが早いことです。
アスパラガスはみな伸び過ぎました。タマネギは一挙に大きくなりました。地面から抜いて、すぐ食べる味の良さは知る人ぞ知る、贅沢な喜びです。

在英のK君の論文をだいぶまとめたので、昨日送ったところですが、さっそく返事がきてました。かれが自分でまとめたものをわたくしに渡したのがもう1年8か月まえですから、大変申し訳なかったのですが、長くかかりました。しかもまだまだ完成には時間がかかりそうです。しかし、わたくしの頭ではやっとタイミングが来たという感じなのです。
データが出たら、すぐ論文に書いて出せる新酒でも味がしっかりしてるものもあるのですが、データが示す現象が何を意味するのか分からないものは熟成期間の必要なお酒のように、置いておくことの価値を考えて、どうしても後回しになってしまいます。
この論文は、いまなら、やっと完成する側(つまりわたくしのことですが)も興味を持って書けるのです。
ただ寝かせてるだけのように見えても、時期がくるための熟成期間のいる論文もかなりあるのです。1年8か月前に無理矢理書けば、結局適切な議論がぜんぜん出来なかったかもしれません。このあたり、こういう類の論文を書く時期は非常に難しいものです。

1年から4,5年くらいまでデータが寝ることは良くあるのですが、寝かせ期間の適切なタイミングはわたくしにも自信をもっていえません。このK君の論文はわたくしがヒストンアセチラーゼとかデアセチラーゼにかなり真剣な興味を持って自前の知識も増え、考える機会も増えてやっと、論文を完成するだけの知的準備が済んだケースです。決して怠惰ではないのですが、論文を書いて置いていったK君から見れば、ヤキモキした期間でしょう。

さて、きょうのスコットランド戦どうなるでしょうか。

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