昨日は土曜でしたが、早朝からスケジュールがあり、9時前にはこのテジョン市にあるKRIBBという国立の(日本の独立行政法人に相当するのでしょう)研究所を訪問して、いろいろ運営やまたその一角で行われている分裂酵母のポストゲノムプロジェクトの研究室も見せてもらいました。この町は人口百五十万人ということですが、その一部が筑波のように国策的な研究所がずらりと並んで、聞くところによるとPHD博士取得者が5千人住んでいるそうです。
自然は豊かそうですから、ここが将来の韓国のいろいろな科学技術の中核を担うことになるのかもしれません。しかし、やはりどこでも研究所運営は大学との関係で難しい面があるようで、大学院生の確保とかまた研究費をもらいすぎと言われるとかそれなりの悩みがあるようです。
一番の悩みはいまの国側の行政政治トップがお金をうみだす特許をとれ、それしか価値がないというニュアンスの発言が多いとか言ってました。わたくしは、それは古い考えで百の特許のうち金を生みだす物はほとんどないし、企業の本当の利潤を生みだす技術は特許にもしないで真に秘密にしてることが多いので、研究所や大学での特許至上主義くらい愚かなものはないと、言いましたら、それはみなさん米国からきたNさんも含めて全員が賛成してました。
それから、利潤を既に生みだしている特定企業技術の改善をするのを、大学や国民の税金で行う研究所が行うのもヘンな話しで、やはり国の研究所は特許をとるのならもうすこしあか抜けた考えがひつようだとわたくしはいつもおもってます。このあたりは、狡猾な技術系研究者に行政が騙されている面もあって、特許至上主義にはメスを入れる必要があります。つまり費用対効果で徹底的に精査すべきです。これは日本のはなしですが。
さて、このあと、バイオテクノロジーのB社を訪問しました。これは非常に興味深いものでした。わたくしは、かれらの持っている技術が相当なものであることはよく分かりましたが、それよりも真摯でオープンな態度に好感をもちました。外国から来たVIPには日本でもかなりオープンに見せることはわたくしも知っていますが、それはそれとして、ともあれここに韓国に一社世界に通用するバイトテクノロジーの会社があることがよく分かりました。
この視察というか見学で、わたくしの任務も終わりかと思いました。お昼ごはんを食べてから午後4時の新幹線で釜山に向かう予定でしたから、ここからはリラックスしてとおもったら、なんとこのNさんグループとこのB社が分裂酵母の共同研究をKRIPP社と一緒に始めての5周年とかのレセプションがあるとかで、また車に乗せられてのどかな田園地帯である郊外のB社の旧社屋のあるところでパーティがあり、そこに連れて行かれました。わたくしは到着までなにも知りませんでした。そこには国会議員3名といま選挙真っ最中の市長選の候補の政治家VIPが4人もおり、なぜかテレビカメラマンらしき人達が10人もいたのです。そういえば今回の旅行はすべてお世話になったこともあり、一時間後になにが起きるのかよく分からないことが何度もありました。かなり、それを楽しんでいた面もあります。実際この経験もおもしろいというか、おかしいものでした。たぶん当事者は大変に真剣だったのでしょうが。
Nさんもこりゃなんだという顔を一時してましたがさすがにロックフェラー大総長ですから平然と見事な祝辞をしまして、わたくしを感嘆させたものです。
この市長候補は太田市をbiotopiaにしたいと言ってるらしいです。つまりバイオ生物楽園ですか。彼の祝辞は、これをうまく入れて、政治家が21世紀にバイオを中心にすえて社会をかんがえるのは素晴らしいという趣旨ですが、まあ利用されているのを百も承知でなおかつ、ぜひどんどんやりなさいという激励にむすびつけるのはすごいものだと改めてNさんのスーパーな能力に関心したものです。ところでNさん、20才のころはれっきとしたトロツキストでした。佐藤優さんもふくめ若い頃の過激政治思想の持ち主は社会は十分にとりこんでいないといけないな、結局そういう人達が何十年もたつと社会にとって非常に役に立つことになるのだからと、強く思いました。若いトロツキストの全員が将来社会に役にたつなどととはわたくしも申し上げませんが。
この後わたくしは急いで、B社の本社屋に戻り、昨日のブログを投稿してから、駅に向かい列車に乗れました。妻は車の渋滞に巻き込まれギリギリに着きましたが、またまたKさんという若い方ご一家と同伴して、大変お世話になったようです。世話に成りっぱなしです。
列車の印象を書いてる時間がありません。
釜山に着いたら、かつて京都にいたCさんが奥さんと一緒に迎えて来てくれました。懐かしい顔を見つけてホッとしました。
かれらの親切に甘えて、ゆっくりした時間を夜過ごすことが出来ました。感謝、感謝です。
今日はこれから、Cさん夫妻と慶州まで行きます。明日は帰国するので、せいぜい楽しもうと思います。きょうは日曜でもありますから。