鳴く理由

ここのところ、毎日の訪問者が急増してかなり驚いています。というか、不安に感じています。なにもより面白いことを書いてるという気がないのですが。

わたくしが朝起きてからしばらくデスクワークする部屋(書斎といってもいえないことはない)のデスクの椅子は猫と共用です。
朝起きてクッションをみると、かならず彼女の毛がついてます。しかたなく、コロコロというのですか、接着剤の付いた紙をコロコロまわす極めてアナログの装置で、毛を除きます。背のほうのクッションは毛が着いてるかどうかはちょっと見は分からないのですが、たぶんたくさん付いているので、これも除去します。これが朝の仕事始めの最初の仕事です。
このメス猫は、なんども書きましたように高齢ですが、容色はあまりおとろえてなく、なおかつ知能程度が年々わずかずつですが向上しています。見習わなければなりません。
実は、わたくしがたまに、彼女がこの椅子に先に座ってるのを見ると、向こうもこちらを見て大声で鳴きます。威嚇して鳴いてるのでもなく、悲しくて鳴いてるののでもなく、鳴いたあと一秒か二秒後に、椅子からぴょんと飛び降りて次なる寝場所に移るわけです。たしかに何度か、わたくしが声を出して、こらっとかいうので、慌てて逃げていったことがありますから、ここに座ると叱られるというのはいちおう体験しているのです。
しかし、この鳴く理由はわかりません。わたくしの顔をしっかり見て、大声で鳴くのでなにか理由があるのでしょう。
この猫の独特の個性と能力なので、わたくしが理解しようとしなければたぶん誰も理解しない鳴く理由なのだと、わたくしは信じています。妻とこの猫とのあいだにそのような関係があるとは思えません。

実は居間にあるひとつの椅子も、わたくしと彼女が共有してるのでして、鉢合わせするとほぼおなじ状況が起きます。
大声で鳴いてから、椅子を降りて、数秒後にわたくしの膝に座ろうとします。ちゃんと譲ったうえでなおかつわたくしの膝の上に座ろうとするのですから、立派なメス猫と言わざるを得ません。
それでは、なぜ書斎のほうの椅子にわたくしが座った後に膝に座ろうとしないのか。たぶん、それはわたくしの膝の上とデスクの引き出しの空間は猫が一匹はいるのにはあまりにも、狭すぎるのを経験的に知ってるのでしょうか。
たぶん、居間と違って、かなり真剣に座ってるので、その真剣さが伝わって、安楽でないのでしょう。猫は安楽でないものはすべて嫌いですから。

とはいうものの、わたくしが猫と書斎で鉢合わせをすることは最近はほとんどありません。この毛の掃除がなければわたくしも気がつかないでしょう。
たぶん、一日のどこかの時間、心地よい時間があって、その時間にとぐろを巻くようにこの狭い椅子のクッションで寝てるのでしょう。居間の椅子と違って、同じ時間に競合するということはありません。
毎日コロコロで除去するたちばになると、この妙な存在感を感じざるをえません。
こういう存在感は何に似ているのでしょうか。

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