今日の新聞では、大臣が署名したので、死刑囚が4人執行されたというのが比較的大きなニュースです。それに対して、抗議をする声明がいくつもあったとか。
もちろん死刑廃止運動は一つのりっぱな考えでそれ自体は尊重します。
ただ、大臣が死刑のはんこを押さないことを褒めて、押した大臣を非難するのは法治国家としてはおかしいと思います。それじゃ、大臣は死刑を執行しないという新たな法律的なものを法の上に個人的に作ってしまう、そんな感じがあります。
やはり執行せざるをえないでしょう。死刑が確定しているのなら。だれもが、たとえ悪法だと思っても、法に従っているわけですから。前の法務大臣ははんこは絶対おさないと就任会見で言ってましたが、ずいぶんひどい大臣だとわたくしはその時思いました。どうしても死刑はいけないと主張する人がいると同じように、犯人は絶対に死刑にしてほしいと願っている被害者(の親族など)がいるのも事実です。いまの日本は、死刑を認めている以上、大臣ははんこを押すのが業務のひとつでしょう。
週末の話題には適当でないので、触れませんでしたが、実は金曜の帰宅直前にわたくしたちにとっては、おどろくべきニュースがやって来ました。
研究科長のNさんが急遽説明されました。補正予算で工学部9号館(わたくしたちが働いている場所)は耐震工事が認められました。これを聞いた瞬間に、すぐわたくしはここを半年以内に退去せねばならぬ、予想よりずっと速かったな、というショックと同時にしかたがないという、あきらめの気持が交叉しました。
今年度の税収が非常に良くて、京大には相当額の耐震工事費が国の予算としてついたのだそうです。京大は桂キャンパスもあるし、この9号館の工事にお金が回ってくるのはだいぶ先と、勝手に思っていましたが、そうではありませんでした。思いのほかに早くその時期がやって来たのです。そうなると、耐震工事がすんでもわたくしたちがここに戻れる可能性はゼロです。本来は借りていたのですから、本来の予定居住者に返却するのが大学内の鉄のルールでしょう。ここは文科系ゾーンということですから。とりあえず、この9号館の住人すべてに退去通告がでたのでした。生命科学に限らないので、いろいろな波紋があるのでしょうが、没交渉なので、聞こえてきません。
こうなると、生命科学はお隣の分子棟は折角手に入れていたのに、てばなしてしまったようですが本当に惜しい。それに、生命科学研究かは情報学研究科建物に将来的に移転するはずだったのに、情報学研究科は桂キャンパスに行かないとか、そうなると、この研究科の将来像はどうなるのでしょうか?
どうなるにせよ、わたくしはもう現役ではありませんので、日雇いの研究員ですから、学内的には何の発言力もありません。
大学というか実際には研究科のほうで手当をしてくれる(だろう)移転先の研究スペースに遅くとも半年以内に引っ越しをせねばなりません。それだけは、はっきりしています。
そんなことを、きょうラボの全メンバーにお話しをしました。全員、相当なショックのようでした。そうでしょう、前回の引っ越しはついこのあいだのように感じるでしょうし、ほとんどが引っ越しを体験しています。まあ、トラウマのようなものでしょうし。
わたくしは、どこかこの研究室を引き取ってくれるようなところがでてこないか、夢想しています。
野球のフリーエージェントのように、トレードみたいなものはないでしょうか。球場を失った球団の選手のほうがよりよいアナロジーとも思えますが。
わたくしの京大での研究室は経費的にはほぼすべてJSTの丸抱えみたいなものなので、しかもわたくしは、京大の単なる研究員なので、大学からの縛りはほとんどなにもないのです。気持的には研究科に迷惑をかけたくない、どこでもいいから迷惑のかからないところへ、出ていきたい。まさにクオバディスの心境となりました。
ただ、これはあくまでも夢想でして、実現しないのが夢なのだそうです。
研究科からはいったいどのような移転先を申し渡されるのか、固唾をのんで待つことにしましょう。