パブリックな科学技術文献の電子図書館

蒸し暑い日でした。
東京の市ヶ谷のあたりにある科学技術振興機構(JST)での会議に出ました。
なかなか興味深い取り組みで日本に多数存在する学会誌を電子アーカイブ化するというもので国の予算の範囲で選択的におこなうのですが、だれでもがインターネットでアクセスできる時代なので、貴重な情報が国民財産化されるわけです。

戦前の科学技術の情報にアクセスするはいまではとても難しいものになっています。ものによっては一冊しかなかったり、紙がボロボロになったり、図版などが風化して見えなくなりつつあります。
しかし、昭和の初期や大正、分野によっては明治でもなかなか素晴らしい科学技術が日本にはありました。そのようなものが、特別な大学に大切に保存されているだけとか劣化したりでほとんどだれも見ずにうち捨てられたりすれば、本当にもったいないことです。
これらが誰でもインターネットからダウンロードして読めるようになれば遠い戦前の情報も誰でもどこでもすぐにアクセスできるので、画期的なことです。
あたらしい研究者や研究分野があらたに生まれるかもしれません。

日本の学会誌の中には19世紀に出発したものもありますので、そういう古い学会誌ではどんな風に発表され議論されていたのか、興味深いものがあります。
この電子アーカイブ化は当初国際競争力を高めるものとして始まったものらしいですが、きょうの会議で知ったことはだんだんこの日本語文献のアーカイブ化を重視しているようです。日本語文献こそ国がサポートしないと残らない意見がありました。たしかにそう思えました。

日本の科学技術についての長い歴史を背景にいろいろな文献を電子化して保存することは、とても大切です。盆栽、錦鯉、尾長鶏など一次文献などちょっとかんがえても沢山の日本技術があります。高松塚古墳の保存も大切ですが、紙などを媒体とした古い記録を電子化して誰でもがアクセスできるようになれば、海外での日本学も発展するような気がします。
米国の医学文献はパブメドPubMedというところにアクセスして知りたい用語をいれればその文献が古いもので1960年代くらいまでさかのぼってリストアップされ要旨を見ることができます。

日本でもPubSTつまりパブリック科学技術文献電子図書館のようなものをインターネット上に確立すれば、古くは空海弘法大師の農業技術の偉業などの文献などにもアクセスできて、日本の歴史のもつ広大なひろがりと深さが実際には科学技術にもたくさんあったことが一目瞭然わかるのになどと、夢想しました。

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