ひとりの発言者 寛仁親王

きょうは、上野で昨日の続きの会合がありました。
座長のO先生のスッキリとした会議運営もあり、たいへん気分良く終わることが出来ました。帰途の新幹線車中でこのブログを書いてます。

ボルテールの言葉として、次のようなものがあります。
「わたくしはあなたの意見には反対だ。しかしあなたの意見を言うあなたの権利をわたくしは自分の生命をかけて守ろう」
いまでも、言論人ならば、そのようなスピリットを持っているひとたちのみが尊敬の念をかちうるのだと思います。
女系天皇がありうることを認める、新しい皇室典範法案にはっきりと反対の意見を表明して寛仁親王がたちあがりました。皇族のなかではただひとり、この問題についての発言者です。
毎日新聞でのインタビューをネットで読むと、最近の議論の深まりもあって、寛仁親王のお立場がわたくしなりにだんだん分かってきました。そして、親王の意見の首尾一貫性と確信している、あるべき皇族および天皇継承についての信念も理解できるようになりました。深く歴史も勉強され、なおかつ昭和天皇の甥でなければ決してわからない、日本という国における、天皇家の一貫した使命も深く考えておられることがわかりました。
皇族の中での唯一の発言者、何をいっても誤解される可能性のあるお立場ですから、間違いなく勇気ある行動です。さらにひげの宮さまなどと半分ちゃかされるような時期が長く、親王はやや変わった人という世間的なラベルも貼られておりました。お立場じょう、世間がストレートに親王の意見を聞かないだろうということも、お分かりでしょう。
しかし、今回の親王の発言は極めて貴重であり、わたくしのようなこのような問題に疎い人間を深いところで啓発してくれます。つまり、天皇家というものは、実際には歴然として今でも存在していて、たとえ皇籍を離脱していても、戦後親族としてのつきあいが続いているという事実です。これは、巷間にある皇族についてのコンセプトと著しく異なるものです。わたくしは、親王の意見をよく読んで、だんだん自分の意見もつくれそうになってきました。本当にありがたいことです。
 このような貴重な役割を演じる親王が意見を発するのはおやめなさい、あなたの影響力が強すぎるので、発言するのをお控えなさいと言う、社説を二日前に見ました。
影響が強すぎるから、意見を言うのをやめなさいという、言論をわたくしはボルテールの意見と比較すると、その差の大きさに驚きます。

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