ここの海水は透明な上にたいへん暖かいとのことです。わたくしはいまだに水につかっていません。
昨日の昼頃にノーベル医学生理学賞の発表がありました。
三人の人達で、ネズミの遺伝子破壊をして、医学的な応用に発展したということになるのでしょうか。幹細胞の研究者も入ってるようなので、医学的にはよくわかる妥当な受賞なのでしょう。
しかし、われわれのように酵母をもちいてきた研究者にとっては微妙な影を投げかける面もあるのでした。それは、カペッキ博士の遺伝子破壊にかかわることで、その原理は酵母でなされたものと同じです。
わたくしは受賞理由の中にR. Rothstein博士のこの面での大きな功績がしるされているかどうか知りませんが、われわれのように酵母のモデル系をやって来た人間にとってはこのRothstein博士の研究のうえにカペッキ博士の研究があるのが自明なのですが、そのあたりの考えがどの程度反映されていたか、はかなり不明な状態になってるような気がしました。
しかし、ノーベル賞というのは出す人が誰に出すのを決めるので、今回の医学的に限定された受賞理由からは格別に問題があるとは思いません。
むしろカペッキ博士がどのていど自分のやったことに酵母の研究が影響があったかを自問自答してもらう以外にはしかたないのでしょう。
研究者が他のひとたちの研究をどう自分の仕事で引用するかですが、最近できるだけ一番影響のあった影響を意識的、無意識的に引用しない研究者が増えてきている感があります。
とくに世間的に成功したとみなされる研究者にこの性癖が強くなってるのは悲しいことです。
こんかいも若手の実力派のひとりの講演でそのような強い性癖がでているのがあって、わたくしはおもわず手を挙げてそれを咎めるような発言をしてしまいました。特に、完全に無視していた研究が流れで真実なことが分かってきたときにまるで自分が先鞭をつけたような発表をするのは許せません。つまり、二重の無視を時間の経過とともにやってるからです。
このようなことをする実力派研究者はだいたいその先生もそのようなことをする傾向があるので、悪癖は伝承される面もあるようです。残念なことです。
無意識な行為として、わたくしはさきほどからJSTの戦略分野の領域決定における意識的無意識的な利益相反行為の可能性を大きな問題とかんがえています。
研究者のデータ捏造行為に時効がないように、行政面での違反行為ももしもそれが確かにあったのであれば、わたくしはそれにも時効は無いと思っています。
スポーツ界でも違反ドーピングが原因でメダル剥奪があるようです。違反者が生きている限り、時効はないでしょう。違反者の肉体そのものが違反行為の証拠になるのです。