きのうの東京での会合では、国際競争に打ち勝てる日本人研究者をいかに育てるというか、鼓舞するというか、そういうことが話題になりました。いっぽうで、基礎研究費の減少、若者が研究に来なくなったというまた別の次元のしかし大きな問題も並行的な話題になりましたが、全体としては最近出た会合の中ではわたくしにとっては意義深いものでした。しかし一方で、事態はかなり深刻ではないか、という認識を再確認しました。
一人の中田ヒデ、ひとりの中村俊輔、ひとりの本田圭佑のようなスター選手が生まれるには沢山の要因があるように、ひとりの大きな業績をあげる研究者が生まれるには同様に沢山の要因があるのです。
一つの研究環境を変えたら劇的に改善するものではありません。複合的で複雑なのです。
でもはっきりしていることは、自国の中に狭く閉じこもって大きく育つはずがないのです。
昔は国際的、いまは世界的や地球的、つまりグローバル的に自分を置いてそこで自分をはっきり存在させて認知してもらうのですね。つまり世界的な舞台があってそこで自分が主たるプレーヤーになる、その舞台はその時代の歴史を定めるものなのです。
どれだけの日本人がそれぞれの活躍するプロフェッショナルな場で、そのような認知をうけるようになっているか、まだまだ日本は不満足な状況であることは間違いありません。
そういう意味で、今回本田はいうまでもなく、松井のようないぶし銀のような個性も高く評価されかつ広く認知されたようなので、若者にとって世界を理解するうえで、これくらい見る教育の場として優れたものはなかったかな、と感想を帰路に持ちました。