民主党はいろいろひどいことをやっていますが、しかし一方で負のインパクトはなんらかのポジティブな面もあるようで、このままほっておいたら日本の科学政策はとんでもないことになる、ということを真剣に考える有力な研究者が増えてきたようです。ありがたいことに立ち上がりかつ日本の科学政策に立案というかたちで参加しようとおもうひとが学会でもでてきて、懇談会も発足しました。すでにメールなどで意見交換が行われだしています。政策シャイというかそういうものに手をだしたり頭をつっこむよりも研究をしているのがいいのだという意見ももちろんあるのですが、会員は色んな人がいるのですから、懇談会をたちあげるのを止める理由はありません。それどころか、できることはどんどんやろう、反面教師は真の教師かもしれないし、失敗は成功の母、まずやってみて痛い目にあうのもいいかもしれないし。ともあれ現行の科学政策は首尾一貫したものは存在しないといっていいのでしょう日本全国草刈り場とでもいう状態。上から下までオポチュニストが仕切っているといっても誇張じゃないかもしれません。しかしそういう状態になっているのは、研究者の責任ともしもいわれれば頭を下げざるを得ないのが現状です。ともあれ隗より始めよ、やってみなさいな、という気持ちです。何が出てくるか、楽しみです。政策である以上、論争が無ければお話しになりません。わたくしは老人なので、というか老人のカテゴリーにいるので、血の気の乏しい老人らしく振る舞おうと思っています。
今週のNatureのオンラインにiPS細胞とES細胞などのリプログラムの様子を詳細に調べた論文がでたようです。iPS細胞を医療につかおうという向きにはバッドニュースのようにも見えました。つまり体細胞時代の性質が相当残っている。普通の遺伝子ばかりでなく、セントロメアとかテロメアのクロマチンというかメチル化を見ているのですが、これの性質も相当残存しているそうです。しかもiPS株のひとつひとつに相当な個性というか違いがあるようです。ある意味、そう聞けば当然そうだろう、とわたくしのような人間には思えます。そのあたりが胚細胞の全能性とのちがいでしょう。これでiPS細胞が山中リエジェントをかけてもせいぜい2%程度しかできないときいてますが、それと話がよくあいます。なにごとも基礎的なレベルでしくみをきちんと理解することが大切です。特許特許に狂想曲のように向かっていくのはどうなんでしょうね。大学のはなしとしてはなかなかたのしく聞こえてきません。でもまあ景気づけには一部では素晴らしいと思われているようなので、オールジャパンという軍国主義のようなかけ声がこの百万遍近辺まで聞こえてきます。でも、それでいいのでしょうかね。時がたてば、ね。