大学院大学の前身の体質、河野修己記者による記事の抜粋

沖縄大学院は100%税金の大学ですが、その前身は、ついこの間までですがこれも税金100%の独立行政法人でした。この組織運営については色々な問題が発覚しました。パワハラ問題、40億円のずさんな予算超過の発覚が遅れたことなどなど、あまり中央マスコミでは出ませんが、地元ではそこそこ話題になり、それが県民の離反を引き起こしているのです。
日経が出版しているBTJジャーナルというのがあります。2010年の5号に「沖縄科学技術大学院大学の深層」というタイトルで特報が4本として掲載されています。河野修己記者による記事です。
一年以上前ですし、長くなりますが、その一部を引用させてください。
この中にある異例の昇給とかトップによる直接な裁断による給与査定は100%税金の組織になじまないのです。でも、いまも大学院になっても引きずった問題です。人心の懐柔のための昇給と反抗者には減給が、ピラミッド型の閉鎖組織としてもっとも起こりやすいのです。ここでやり玉に挙がっている職員は、ある意味、トップのために献身的でありすぎた、部長という高いポジションではあったが、もっと高いポジションの人々を守るためにひとりだけ犠牲というかやり玉に挙がった面もあります。この記事にでてくる組織トップの関係者は全員、大学院大学に移行していますから、その体質はそのまま大学院大学に残っているといっていいのでしょう。

4 500 万円かけて作成したパ ワハラ報告書の開示を拒否
自民党の無駄撲滅プロジェクトチー ム(座長は河野太郎衆議院議員=写真) は2010年4月5日、同党による事 業仕分け作業の一環として、沖縄科学 技術大学院大学プロジェクトについて 聞き取り調査を行った。この調査の中 で、興味深いやりとりがあった。 聞き取り調査には、内閣府沖縄振 興局の複数の職員と、OIST の Robert Baughman 理事、財務・人事担当の Patrick Vincent 部長が出席した。興味 深いやりとりとは、OIST で昨年発覚 したパワーハラスメント事件について のものだ。 このパワハラ事件について簡単に説 明しておく。昨年、沖縄大学院大学を 設立するための関連法案を審議してい る過程で、OIST の 1 人の職員に権限 が集中しており、複数の職員に対して
「解雇してやる」などの恫喝的言動を 取っているとの指摘があった。この職 員は 2 年間で 12 段階という異例の昇 給も遂げていた。この職員が原因で、 実際に解雇された職員もいる。 本誌の取材では、この職員は 05 年 の OIST 設立当初から在籍している 古参職員で、トップである Sydney Brenner 理事長の秘書的存在として力 を持つようになったという。問題発覚 時には部長職にあった。
OIST は 09 年 7 月に検討・調査チー ムを設置し、法律事務所による関係者 の調査を実施。2010 年 3 月に調査結 果の概要を記した文書を公表した。こ の文書ではハラスメントについて、「懲 戒の対象となる行為が認められたこと を踏まえ、機構は職員甲に対して処分 を行った」とある。処分とは部長職か らの解任である。解雇ではなく、この 職員は引き続き機構で雇用されている。
異例の昇給についても、「職員自身 による『お手盛り』の昇給であると認 定できないものの、評価者が明確でな い点や評価内容の妥当性には疑問があ る」としている。ちなみに、法律事務 所による調査には 5000 万円が投入さ れている。 問題は、河野議員の質問に対して、 内閣府がこの文書の内容とは異なる説 明を行ったことだ。 河野座長はまず、「これほどの問題 を起こしたのになぜまだ OIST にいる のか」と質問。内閣府は、「そもそも OIST は、パワハラがあったとは認定 していない。国会で取り上げられて OIST に悪影響を与えたのが懲戒処分 の理由だ。こうした事情から、役職は く奪が相当と判断した」と回答した。 これに河野議員が激しくかみついた。
「国会で議論されたからといって、無 罪なのに懲戒処分を科すのはおかし い。あやふやなままで処分するのは、 機構のマネジメントがなっていない。 機構がどう見ているかではなく、報告 書の結論はどうなっているのか。パワ ハラと認定しているのかしていないの か」と、報告書の内容を開示するよう 何度か要求した。しかし内閣府は、頑 として要求を突っぱねた。その理由は、
「処分にかかわる情報なので言えない」 「関係者の証言集となっており取り扱 いが難しい」「特定の職員の人事の基 礎となるものなので言えない」「機構 の判断のもととなるものなので、この 場では回答を控える」などというものだった。 河野議員は、「パワハラと認定され ているなら処分されてしかるべきだ し、報告書がパワハラと認定している のに機構がそう認めないならマネジメ ントがおかしい。私は報告書のコピー を目にしたが、そこではパワハラと認 定していた」と食い下がったが、対応 は変わらなかった。
この内閣府の態度は、客観的に見て 非常に不可解だ。研究開発法人や大学 法人で、パワハラやセクハラ、論文捏 造、研究費の不正使用などの問題が発 生するのは、それほど珍しいことでは ない。処分を知らせるプレスリリース もよく目にするが、例外なく、何が処 分の理由になったかは明確に書いてあ る。しかし、今回の内閣府の説明は、 その点を全くあいまいにしたままだ。 こうした対応を許してしまえば、 100%税金で運営されている組織内で 何か不適切な事象が発生したとして も、外部からはチェックできなくなる。 今回指摘された問題は、職員によるパ ワハラではなく、逆に、処分を装った 職員いじめなのではないかとの可能性 さえ疑ってしまう。 河野議員は職員を特定できるような 情報を要求していたのではない。調査 チームが、パワハラと認定したのか どうかを確認しようとしていただけ だ。なぜその点さえ開示できないのか。 OIST のある関係者は、「報告書は、こ の問題に対する理事長や理事の対応の まずさを指摘している。この点を追及 されたくないため、内容の開示を拒否 しているのではないか」と話す。 河野議員は最後に、「このような状 況が続くなら、管理体制を一掃するの が適切ではないか。与党が独立行政法 人の事業仕分けを予定しているので、 対象としてもらえるよう働き掛ける」 と発言した。 (河野修己)■

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