ここのところ論文がふたつ通ったのですこし肩の荷が下りました。一つは沖縄主体、もう一つは京都主体ですが、最近ではわたくしの頭の中は両方の研究が渾然となっています。ただ事務も組織も研究費も違うのでそれを意識せざるをえないことはよくあります。
すぐにまた二つ論文を完成したいのですが、一つはもうデータ的に完成形ですが、もうひとつは一人の研究員の最後のデータ待ちです。いっぽうでしゃかりきに進めている真ん真ん中の仕事も二三ありまして、これの進捗をはかるために毎日相当な時間を割いています。色んな段階の仕事に応じて、頭の中の仕切をいろいろ作ったり壊したりする必要があります。
このあいだ沖縄で晩飯を食いながら、公務員が守秘義務のある情報を自主的に漏洩をしたり、もしくは誰か(たぶんマスコミ関係者が)が教唆して漏洩したり、というような違法行為があったら、それらの関係人物を逮捕できるのはだれなんだろうかとかいうはなしになったことがありました。かつて警察官だったSK君は自信に満ちてそれは警察です、と言いました。そうなの、と念押してもそうだと言うので間違いないのだとおもいました。わたくしはこういうことには疎いので、法曹関係者の違法行為は検察がやはりやるのか、などと曖昧に考えていました。しかし、そう聞くと、なるほど警察なのか、となんか腑に落ちました。
それで記憶のどこかにかつて毎日新聞の記者が外務省の職員を教唆したかなんかで機密情報を得て逮捕された事件を思いだしました。法曹関係者ではありませんが、情報漏洩と教唆という点でいまの日本のたれ流し状況を考える参考になります。さいきんその機密情報がホンモノだったと証明されたことも記憶にあります。あの時警察が彼等を逮捕したのかなと、記憶がよみがえりました。
ところがいま西山事件という項目でウィキペディアをみると、西山記者は東京地検特捜部に逮捕されたと書いてありました。毎日新聞は当初猛烈に検察に反抗していましたが、西山記者と情報漏洩した女性職員が情を通じていたと政府筋の情報で週刊誌に書かれて、政府の反撃にもあって新聞は窮地におちいったとあります。西山記者は情報目当てに既婚の事務官に近づき酒を飲ませた上で性交渉を結んだとされ、情報源の外務省女性事務官を国家公務員法(機密漏洩の罪)、西山記者を国家公務員法(教唆の罪)で逮捕したとあります。長い裁判で事務官は有罪、記者は無罪になったので、かえって記者は倫理的に非難され、記者ご本人も新聞社も激しく叩かれてしまったとあります。真相は分かりませんが、得た情報は正しい内容を含んでいたので密約は真実だったようですが、当時はそんなこと絶対無いという、政府見解が勝ち地検特捜はその流れに決定的な役割を演じたとあります。
そういうわけで、いまの日本の司法記者と検察の共生関係はこのあたりの事件(1971年から1972年の頃)から続いた長い経過があるようです。
司法記者も検察関係者も情報漏洩の違法行為でで逮捕されることなどは今の様子では夢のまた夢のようです。
でもこのあたりが良くならないと、日本の司法野蛮国のレッテルはわたくしの心の中からははずぜないと思います。