クルミの木

きょうから5日間で、三つの論文をそれぞれに応じて進めるのが予定です。かなり進んでいるのは、まだ残っている問題点などをひとつひとつ考えて、改善したり対応した文章にします。半分くらいやったのは、なんとか序論と議論をとりあえず書いてみたいとおもっています。そして最後のはまったく姿もかたちもないので、データファイルを開けて、一つ一つ送られてきたデータを吟味するわけです。
今朝は、この20枚ほどのデータを吟味していました。なんとか論文はできるが、どうももうすこし気分が乗らないのはなぜかその理由をはっきりしたいと自分でおもっていろいろ考えました。データがふたつ甘いところがあるのが原因だとわかりました。
しかし、繰り返せば同じような甘いデータがまだ出てくるだけなので、どのような新しい実験をすればいいのか、そこのところをいろいろ考えているうちに昼になりました。
ひるからは、雨がすこし降ってましたが、ニンジンの種をまく場所を耕して、石灰をまきました。
それから家のうらにあるかなりの広さの雑草を刈り払い機で刈りました。おおざっぱにやるのにも1時間半以上かかりました。
そのあと、前から気になっていた、楠、利休梅の刈り込みをしました。
それにいつのまにか大木みたいになったクルミの木の下枝をかなり思い切って切りました。
この木は、高さ1メートルもない苗で買って、植えた場所が悪かったのか、新しい葉はつくのですが、さっぱり大きくなりませんでした。一度は、なにかのはずみに地面から抜けてしまって、その時の貧弱な根を見て、またもとの穴に戻しながら、この木はもうすぐ枯れてしまう、と思ったものです。
何年経っても、2メートルの高さにもならないので、もうあきらめていたものでした。それがどうしたものか、一昨年に突然伸びだして、昨年はぐんぐん伸びて、かなり太い木になりました。高さも今年あたりは5メートル近くなりました。でもクルミの「ク」も見えないので、雌雄二本の木を買えばよかったといっていたものでした。
今年は、がっちりした木になったのに何もクルミが出来そうもないので、とりあえず下枝を落として、木の下の日照を良くしようと脚立に乗って枝を沢山下ろしました。
それらを、隣の林の脇に置こうと運ぼうとしていたら、妻がほらそこに一つクルミがあるじゃないのと、指を指していました。
驚いたことに、大きなクルミの実が一つ確かにありました。
それをじーつと見ているうちに、なにか反省というか、悔恨の念のようなものがわいてきました。
いままで何人もこういうクルミの木のような院生がいたような気がします。妻にいわれなければ、今年も図体ばかり多くなって、なにも実を結ばなかったと、おもっていたでしょう。やっとけなげに一つの実を結んだ、このクルミのを木を大事にしようとという気持と、やはり来年また駄目なんかもしれないという、院生に対してしばしばおもう感情と似たような気持ちを持ってしまったものでした。

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