ニュートリノ、なつかしい声、ジャック・スタインバーガーさん

ニュートリノというもの、素粒子のひとつだくらい知っています。すこし前に、これが光速より早いという論文がでて世間を騒がせました。光より早いものがあったのか、という素朴単純なおどろきでしたが、そのうちどうもこれはおかしいらしいということになり、最近になって誤りだった、データの解釈の誤りということでした。というか、実験を適切にやってなかったようです。わたくしの知識はそこまでですが、ニュートリノの国際会議といいうものがあり、京都で開催中のようです。

午後になって、この会議の事務局のかたから、電話とあれば驚きますが、なにかの間違い電話と。でもジャック・スタインバーガーさんのことで、という言葉があれば、わたくしの記憶は瞬時に40年前に戻ってしまいます。知ってます。この名前のかた、その奥さんといっしょに働いたことがありますと。そういえば、ノーベル賞を取ったのでは?でもスイス時代な有名な物理学者と聞かされていたはず、と。奥さんの、シンシアさんは実にスマートなかたで、かつ美貌で、物理というかほぼ数学を教えてもらいながら、一緒に仕事するのがやはり楽しかったです。シンシアさんにはこの40年のあいだ、2回位あったのですが、ご主人に会っていません。
京都で会議なので、ぜひわたくしにハローといいなさいと言う、ことだったのがわたくしはもう京大にいないので、ニュートリノの国際会議事務局のかたが探してくれたのです。
当時、わたくしは学生に毛が生えた程度の風来坊、スタインバーガーさん天下に轟く物理学者。ジュネーブの町外れにあるCERNに来ていたのでした。

短い話が長くなってしまいましたが、そこでしばらく電話で話しました。声を聞いてすぐ分かりました。若々しく、ソフトでかつ力強い声。同様にまなざしも強い人でした。
なんと、その時のしゃべり方とほとんど、変わりません。なつかしい声でした。声がまざまざと思いださせてくれました。研究室のそばにあるラジオというレストランでのしばしばの夕食を思いだしました。実験物理学者で多数の俊秀を束ねて加速器実験をする、そういう方なのでしょう、たぶん。奥さんはほんとにやさしい人でした。

話の終わりの頃に、ところであなたいくつになったと聞かれました。そりゃ40年経っていますから、なんだか正直にいうのが恥ずかしい感じ。そして、スタインバーガーさんは?そうかやはり、でもげんきだなあ、当然20歳くらい上とは思いましたが。
はずむ話が終わって、電話を切ったら後で、事務局のかたから挨拶がありましたが、お礼をいいました。とてもいい時間をいただきました。事務局のかたも先生は高齢なのでしんぱいしたが、なんのなんの会場まで毎日かなりの距離歩いていって、講演もとてもすごい、とのことでした。

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